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大阪家庭裁判所 昭和56年(少イ)12号 判決

主文

被告人を罰金一万円に処する。

右罰金を完納できないときは金二、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪市福島区吉野一丁目二〇番二〇号に店舗を設け、野田ブツクサービスの名称で女性の裸体等を露骨に撮影して印刷したいわゆるビニール本や模造の男女性具等の販売を業としているものであるが、法定の除外事由がないのに、昭和五五年九月一七日ころから同年一〇月三〇日ころまでの間、満一八歳に満たない児童であるT(昭和四〇年三月二四日生、当時一五歳)を店員として雇入れ、同店に住込ませた上、その間及び別紙犯罪事実一覧表の日時の前後三四回にわたつては午後一〇時を超えて午後一一時ないし翌日午前一時二〇分ころまでの間毎回一時間ないし三時間二〇分、同店において、ビニール本の値札貼り、販売等の業務に従事させ、もつて児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて同人を自己の支配下に置くとともに、満一八歳に満たない者を午後一〇時から午前五時までの間において使用したものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

判示所為中児童福祉法違反の点は包括して同法六〇条二項、三四条一項九号に、労働基準法違反の点は同法一一九条一号、六二条一項に各該当するところ。児童福祉法違反の罪と各労働基準法違反の罪とはそれぞれ一個の行為にして数個の罪名に触れる場合であるので、刑法五四条一項前段により重い児童福祉法違反の罪の刑により処断することとし、所定刑中罰金刑を選択し、その額の範囲内で被告人を罰金一万円に処し、刑法一八条により、被告人において右罰金を完納できないときは金二、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、訴訟費用については刑事訴訟法一八一条一項但書を適用してこれを被告人に負担させないこととする。

よつて、主文のとおり判決する。

(別紙)

犯罪事実一覧表

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